生花店と生産者をつなぐ情報誌 蕾vol.23

ポインセチアとシクラメン

今回は初めての鉢物!冬の贈答品にはかかせないポインセチアとシクラメンを特集します!
毎年秋に行われる品評会で上位入賞されていますが、今年(2015年)も大賞を受賞されました!その美しさと高品質を生む秘訣をお伺いいたしました。
さらにアンテナショップを使った長野県の花普及の活動についてのレポートと長野特産のくるみのお菓子をご紹介します!

contents

◆こだわりの産地に行こう!ポインセチア×市村花卉園(茨城県)
すべてに特化していくこと美しい仕立て技!手間暇かかってますポインセチアの見分け方お客様の手元で長く楽しめる工夫
◆こだわりの産地に行こう!シクラメン×大栄花園(千葉県)
育種は遺伝子の神秘メリクロン培養された苗たち〜未来の新品種品種名の由来葉組みはプロフェッショナル技水やりは育った方法で
◆長野県の花普及の取り組み@銀座NAGANO
長野県花きイノベーション推進協議会の取り組みJA全農長野の取り組み
◆Sweets News 銀座NAGANOお薦め「くるみ菓子」

こだわりの産地に行こう!
ポインセチア×市村花卉園(茨城県)

茨城県南東部の鉾田市(ほこたし)は、東は太平洋・西は北浦と、海と湖に囲まれた温和な気候に恵まれた農業の盛んな地域にある市村花卉園。ご兄弟で秋冬はポインセチア、春はあじさいを主に生産しています。

市村 剛さんポインセチア

市村 剛さん

お兄さんの市村剛さんはポインセチアのご担当。ボサと言われる普通の形状だけではなく、タワー、ツリー、スタンドを中心に変わり仕立てが得意な産地です。東京砧花きでの品評会では、5連覇の快挙。今年もマース(ツリー仕立て4号)が文部科学大臣賞(1位)を受賞されました。

すべてに特化していくこと

ポインセチア ポインセチアの生産者は多品種を少量ずつ生産するスタイルが主流。市村花卉園でも約30品種を生産していましたが、現在は6〜7品種に絞って生産しています。その理由は“特化していくこと”。品種選定は売れるものより“品質がいいものが作れるか”が基準。
珍しい色だったり人気がある品種でも、夏の猛暑で高温障害(葉の奇形など)が出やすいものや育てにくいものは排除していき、自分達の生産スタイルにあった高品質なものが作れる品種が選定されています。
秋に各地で行われる数々の品評会で上位入賞されていることは、高品質である裏付けともなっています。

美しい仕立て技!

ポインセチアポインセチア

ポインセチアは頂芽優勢(茎の先端にある頂芽の成長が、側芽(腋芽)の成長よりも優先される現象)の性質が強く、そのままだと先端だけに葉が茂ってしまい根元に葉がない状態になり、逆三角形の花姿になってしまいます。
そうならないように根元近くから脇芽を伸ばすような形に切り戻りして形を整えます。これがなかなか難しい技術と感性が必要になります。
そのため仕立てものは生産に時間がかかるため通常より1ヶ月早めの5月に定植。それから、数回にわけてピンチを行っています。

手間暇かかってます

ポインセチアは日の当たる時間が12時間以下にならないと花が咲かず色が変化しない性質。
日が短くなる冬になれば自然に色づきますが、クリスマスの出荷に合わせて、9月中旬〜11月中旬まで毎日17:00〜翌朝8:00まで、ハウスの中のシート(上部+側面からも)をかぶせて光を遮断します。

色づく前のポインセチア
色づく前のポインセチア

遮光するためのカーテンがたくさんありました
遮光するためのカーテンがたくさんありました

ポインセチアの見分け方

ハウスに入った途端、ポインセチアの緑と赤の苞のコントラストに見とれてしまいます。どの植物にも共通することですが、見分けポイントは葉です。緑が濃く、はっきりと発色しているものを選びましょう。
もう一つ重要なのは根がしっかりしていること。剛さんが鉢から抜くと根がびっしり!根がしっかり育つことで、お客様のお手元でも力強く長持ちします。

根がびっしり

こんなに根がびっしりとまわっています。(なかなか店頭で鉢から抜くというのは難しいですが…)


お客様の手元で長く楽しめる工夫

メキシコ原産のポインセチアは寒さが大嫌い!出荷始まる11月初旬は寒さが身にしみてくる季節。その為、出荷2週間前からハウスの温度を徐々に落としていきます。これはお客様の手元やお店に届いてからのダメージを受けにくくするための工夫。環境の変化が激しいとストレスがかかり、元気がなくなってしまいます。
室外で育てたくなりますが、そこはグッとこらえて、室内で育てましょう。太陽が大好きなので、窓際におくのがポイントです!玄関など、夜間15℃以下に下がる場所も避けましょう。

●市村花卉園 生産品種


プリメーロ ホワイト


レッドタペストリー


アイスパンチ


プリンセチア ホットピンク


プリメーロ シングル
同じ品種でも色や模様の出かたが異なります。


アーリーレッド ウィンターローズ



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こだわりの産地に行こう!
シクラメン×大栄花園(千葉県)

千葉県成田市で先代から育種をされている大栄花園。その中でも、就農15年の高橋康弘さんが生み出す品種は品のある美しいものばかり。今年受賞したサムライもその一つです。

オリジナル品種 SAMURAI
オリジナル品種
SAMURAI(サムライ)
東京砧花き 農林水産大臣賞(1位)
豊明花き 品評会大賞(1位)

高橋康弘さん

高橋康弘さん

シクラメン

育種は遺伝子の神秘

育種は自分の作りたい理想の色や形を追及していく仕事。その為に高橋さんは親株となる純系品種を10年以上の歳月をかけて作り出しました。
純系品種は、花色や形・葉の色や形まで何種類もの特徴別に、次世代にも必ず現れる対立遺伝子をもつ品種のこと。この特徴が独立したものをさらに掛け合わせることで、思い通りの品種が作ることが可能になります。
サムライも黒に近いワインレッドと紫の親株を作るところから始め、理想の色を生み出しました。絵の具を混ぜて色を作るように育種されているのです。

メリクロン培養された苗たち 未来の新品種!

育種は毎年500種以上を交配。シクラメンの出荷が終わった12月下旬から種を採種します。すべての品種を同数ずつ育て、交配した種すべてが同じ表現の花が咲けば“安定した品種”ということになります。しかし、すべてが違うものになってしまうことも。
色の違いはもちろん、マーブルの入り方やフリンジの細かさまで丁寧に観察し、新しい品種を模索していきます。

育種中シクラメン
2つの品種をかけあわせる時にはオス株は花色、メス株は花の形・性質(作りやすさ)を受け継ぐ傾向があるそうです。

育種中の白八重品種
育種中の白八重品種。毎年500種以上の交配を行う。でも、デビューできる品種は、この中のほんの一握り


ルチアピンクマーブル

ルチアピンクマーブル
ルチアピンクマーブル
マーブルの入り方が絶妙な美しさ


品種名の由来

世界初の上向きシクラメン、ange(アンジュ)はその名の通り天使のようなシクラメンを育種された高橋さん。実は“アンジュ”は息子さん(次男)のお名前!長男の“レオン”はアジサイの品種で出荷されています。
家族の名前をつけるというのはかなりの賭けです。もし売れなかったら?もしだめになったら?と考えるとつけにくいもの。作りにくい品種にあえてご家族の名前をもらい、難しい品種に挑戦していくところに心意気を感じます。

葉組みはプロフェッショナル技


花を中心に集め、ボリュームある葉が独特なフォルムは“葉組み”という作業によるもの。
花芽に光があたるようにリングを使って花を中心に集め、葉にも光が上から下からとまんべんなく当たるように整えていきます。
簡単そうに見えてこの作業、技術と経験が必要。プロフェッショナルな女性陣が手元に迷いなくサクサクっと作業されていました。葉を触るときゅっと音がするかと思うほど締まっていて、カチカチという表現がぴったり!まさに職人技です!

水やりは育った方法で

シクラメンは5〜15℃の涼しいところで日光が大好き。 長持ちさせるポイントは水やりの方法。 底面吸水で育ったものは、底面吸水でお水をあげましょう。育った環境に近づけて育てることが長持ちする一番のこつです!


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長野県の花普及の取り組み@銀座NAGANO

長野県の花に親しんでもらうために、長野県花きイノベーション推進協議会、JA全農長野が東京・銀座にあるアンテナショップ「銀座NAGANO」で行っている活動をご紹介します。

長野県花きイノベーション推進協議会の取り組み

●フラワーアレンジメント展示会
銀座NAGANOの2階にあるイベントスペースで、フラワーアレンジメントを展示。信州のブランド向上を目的としています。


2015年12月の展示。生産量日本一のアルストロメリアをツリーに仕立て、クリスマスカラーでまとめました。


●親子でフラワーアレンジを楽しめる花育

信州の花をたっぷり使ったアレンジメント教室。 レッスンを受けた方から、「長野花きファンになった」、「長野に行って生産者に会いたい」などの声をいただいています。


JA全農長野の取り組み

旬のお花をディスプレイ 毎月2回、信州産のお花を1階のショップスペースでディスプレイ。産地や品種などもPOPで紹介しています。

(左)2015年11月クラブアップル(右上)2015年6月芍薬(右下)2015年9月ユリ


フレネットHIBIYAではご当地の商材を活かした企画やご提案、また様々な目的に応じてお取引先様の事業をバックアップします。
お問合せ:フレネットHIBIYA 03-3456-5587


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Sweets News
銀座NAGANOお薦め くるみ菓子

長野県はくるみの一大産地でもあります。銀座NAGANOでは、くるみを使った食品がたくさん販売されています。


くるみドレッシングやくるみ味噌などもあります

フレネット女子のイチオシは「くるみの初恋」という名前のスイーツ!口の中でほろほろとメレンゲが溶け、くるみの歯応えと香りが後から伝わってきます。

くるみはタンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく含み、美肌にも効果的。おやつや食事に積極的に取り入れたいですね。

他にもくるみを使ったスイーツがたくさんありました!
上から
くるみやまびこ くるみキャラメル+クッキー
胡桃の醍醐味 チーズケーキ
くるみるく くるみ餡もなか

ぜひ、銀座NAGANOにお立ち寄りください。

銀座NAGANO
http://www.ginza-nagano.jp/
信州の魅力を発信し交流する場。1階では特産品の販売や飲食、2階では体験型イベントを楽しむことができます。


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◆バックナンバー◆

vol.31
■こだわりの産地に行こう!
増田ばら園(静岡県)

vol.30
■こだわりの産地に行こう!
明日香園(佐賀県)

vol.29
■こだわりの産地に行こう!
南原農園(鹿児島県)

南原農園 品種一覧

vol.28
■こだわりの産地に行こう!
コロンビア産カーネーション

vol.27
■こだわりの産地に行こう!
石田蘭園(高知県)
■南アフリカ産ケープフラワー始めました

石田蘭園 品種一覧

vol.26
■つながり上手な畑
山留坂花き生産組合・FreeZe(長崎県)
■IFEX2016 今年も出展しました
■ヴィクトリーブーケデザインコンテスト2016

vol.25
■差がつく!モテ産地
折原園芸(千葉県)
■日本の花を世界へ
〜假屋崎氏のいけばなイベント@上海

vol.24
■イクメン(育種×メンズ)に会いに行こう!
〜ROSE FARM KEIJI(滋賀県)
■作り手の想いをデザインする瞬間
■愛妻の日 チューリップを手に愛を叫ぶ
■南原農園×フレネットHIBIYA

ローズファームケイジ 品種一覧

vol.23
■こだわりの産地に行こう!
〜ポインセチア×市村花卉園(茨城県)
〜シクラメン×大栄花園(千葉県)
■長野県の花普及の取り組み
■SWEETS NEWS
〜くるみ菓子

vol.22
■こだわりの産地に行こう!
〜桜井園芸(茨城県)
■イチオシ資材
〜小松イ草
■ガーベラ交流会 in 千葉

vol.21
■こだわりの産地に行こう!
〜南紀グリーンハウス(三重県)
■Partner's Day〜花贈りの新提案
〜日頃の感謝はお花が最適!

vol.20
■こだわりの産地に行こう!
〜TOKIYAガーベラ
■フラワーショップレポート
〜花福(大阪市福島区)
■イチオシ資材
〜紙を越えた紙/teshio paper

vol.19
■こだわりの産地に行こう!
〜日南スイートピー
(西岡農園・JAはまゆう)
■フラワーショップレポート
〜HANA VILLA(宮崎県宮崎市)
■SWEETS NEWS
〜パティスリー ブランダジュール

vol.18
■こだわりの産地に行こう!
〜JA愛知みなみ
渥美スプレーマム出荷連合
■フラワーショップレポート
〜in Paris

vol.17
■こだわりの産地に行こう!
〜杜若園芸
■フラワーショップレポート
〜REN

vol.16
■こだわりの産地に行こう!
〜JAみなみ信州
■SWEETS NEWS
〜ヒビヤカダンスイーツ

vol.15
■こだわりの産地に行こう!
〜田向園芸・ミゾグチファーム・宮内ばら園
■SWEETS NEWS
〜麻布 青野 総本舗

vol.14
■こだわりの産地に行こう!
〜愛川園芸
■SWEETS NEWS
〜マネケン

vol.13
■こだわりの産地に行こう!
〜高橋広和×片桐花卉園
■SWEETS NEWS
〜マロニエ本店

vol.12
■こだわりの産地に行こう!
〜三和園×山田農園×三井花卉園
■SWEETS NEWS
〜ドイツ・マリエン薬局